このアーティスト、要チェック! 今月のNEWSな人
取材・文/竹内 厚 写真/小檜山貴裕
『Osaka Directory 7 Supported by RICHARD MILLE 小松 千倫』
期間:11月16日(土)~12月15日(日)
場所:大阪中之島美術館 2F 多目的スペース
さまざまな思考があって
その先に生まれる感触の話
音楽家、DJとしても活動(10月にニューアルバム『Computer Music』(P101)を発売!)している小松千倫さん。美術家としては、さまざまなグループ展を中心に作品を発表(昨年は[金沢21世紀美術館]でのコレクション展に参加するなど)してきたが、この11月からは[大阪中之島美術館]での個展が決定。
「グループ展はすごく多いんですけど、個展の機会は少なくて次でまだ3回目。個展だからってすごいものが作れるとも思ってないですし……とは言え、展示を重ねるごとに人がどう見てるのかっていう学びはあって」
展示はインスタレーションとして見せることが多く、音を素材とする作品もありつつ、それが絶対条件ではない。自身ではサウンドアートとも位置づけていないのだそう。
「タイム・ベースド・メディアというのか、そこでしばらく過ごすことで分かってくるような作品を最近は作ろうとしています。なので音だけでなく、映像や光と影とかも使うことがある。ずっと制作してきたことでいえば、やっぱりインターネットの影響は大きくて、膨大な情報がある中でそれをどう受けとるのかという問題意識や、情報伝達、情報保存の基盤みたいなことへの関心は持ち続けています」
情報伝達のあり方や構造については大学院の博士課程でも研究を深めてきた。だからこそ、テキストでの作品解説をそんなに簡単には考えていない。
「単純な話として、分かるってことを回避してるところもあって。文字ってものすごく強いし、なるほどな~っていう展示があまり好きじゃないというのもあります。だから結構、言葉にするのが難しいですね、感触とかのことだったりもするから」
加えて、音を素材にした美術作品となると展示する側に経験や知見がが不足していて、作家としては道なき道を突き進んでいるようなもの!?
「あんまり言うとグチみたいになっちゃうけど(笑)、音を展示することを甘く見られてるなってことを感じることも多いです。音を扱う作品は、ファインアートにもまだちゃんと位置づけられてないニッチな領域ですね」
というところで今回の個展。「大阪の街にとってアートって何?」ということを考えながら制作しているという。来年の開催に向けてまい進する大阪万博や府の美術コレクションが駐車場で保管されていた出来事なんかも横目に見ながら……。
「大阪は音楽関係の若い友達も多いので、ライブに誘ってもらうことも多くて具体的な影響も受けているし、一方で大阪のカルマみたいなことも感じてます。展示としては、大きな敷物の上でだらだらしてもらうような空間を考えていて……殺伐とした感じになるかもだけど(笑)。会期中はライブやバザーとかのイベントもできたらと企画しています」
小松千倫 こまつ かずみち
1992年生まれ。最新アルバム『Computer Music』はジム・オルークがマスタリング。今回の撮影は、京都市に構えるアトリエで。
『Osaka Directory 7 Supported by
RICHARD MILLE 小松 千倫』
期間:11月16日(土)~12月15日(日)
場所:大阪中之島美術館 2F 多目的スペース
- 電話番号06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)
- 住所大阪市北区中之島 4-3-1
- 開場時間10:00~17:00
- 休館日月
- 観覧料無料
- アクセス京阪中之島駅から徒歩すぐ