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今月のイチオシ作品を、20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けるフリーライター・吉永美和子が5作品をピックアップ!

文/吉永美和子
20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けているフリーライター。地元の小劇団から伝統芸能まで、割とジャンルを問わずに観劇している。趣味は旅行といろんなお茶を嗜むこと。

※チケットの販売状況、当日券については各公式サイトをご確認ください

☑NODA・MAP 第27回公演『正三角関係』

松本潤×長澤まさみ×永山瑛太が紡ぐ「三角関係」とは?

昨年のNHK大河ドラマ『どうする家康』で、従来のイメージを破る気弱な徳川家康像で話題になった松本潤。40年以上にわたって、日本の演劇シーンをリードし続ける野田秀樹の新作で、13年ぶりに演劇の舞台に立つ。本作のベースとなるのは、ドストエフスキーの長編小説『カラマーゾフの兄弟』だ。花火師の長男、物理学者の次男、聖職者の三男で構成される唐松族。父を殺した罪に問われた長男が裁判にかけられ、いくつかの証言がされるうちに、この一族ならではの特殊な関係性と、彼らの置かれた状況が明らかになっていく……。連想ゲームのようなノリで、さまざまなシーンが次々に現れ、笑ったりハラハラしたり「?」と思ったりしていると、いつの間にか苛烈な「現実」を突きつけられるのが、近年の野田作品の特徴。先に行われた東京公演の「虚と実の混ぜ方が絶妙」「点と点がつながった瞬間、心がしびれた」などの感想を見ると、今回も観客をあざやかに驚かせる、衝撃の展開が待っているようだ。そして注目の松本は、大河の「白兎」とは真逆の野性的な役ということで、そのギャップにもしびれそう。野田が送る現代への警鐘と、そして 演劇”ならではの表現の豊かさと楽しさに、ぜひ一度は触れるべし!

NODA・MAP 第27回公演『正三角関係』
日程/9/19(木)~10/10(木)
会場/SkyシアターMBS
作・演出/野田秀樹 
出演/松本 潤、長澤まさみ、永山瑛太 ほか
料金/S席12,000円 A席8,500円 サイドシート5,700円(全席指定)※25歳以下サイドシート3,000円 ※9/1(日)一般発売開始 nodamap.com/seisankaku/
問い合わせ/☎︎03-6802-6681(NODA・MAP)

☑日米合作 ブロードウェイミュージカル『RENT』

ブロードウェイで活躍するキャストとの夢の合同公演!

数多くのTVドラマや映画に出演する一方で、みずからの原点となるミュージカルの舞台にも立ち続けている山本耕史。1998年の日本初演に出演し、彼のターニングポイントとなった名作『RENT』が、日米合同キャストで上演される。1996年の初演当時、若者たちの間で蔓延していたHIVや、まだタブー視されていたLGBTQ問題をリアルに反映した内容と、『Seasons of Love』などのキャッチーな楽曲ゆえ、作品自体の根強いファンが多い。山本は、物語の語り部な存在で、初演でも演じたマーク役で登場。何者にも止められない創作への情熱や、短い命を燃やしつくすような愛に生きる登場人物たちの姿に、時代や世代を超えた感動を覚えるはず!
日米合作 ブロードウェイミュージカル『RENT』
日程/9/11(水)~15(日)
場所/SkyシアターMBS
脚本・作詞・作曲/ジョナサン・ラーソン
演出/トレイ・エレット
出演/山本耕史、アレックス・ボニエロ、クリスタル ケイ ほか(英語上演・日本語字幕付き S席 16,500円 A席 12,500円 エンジェルシート8,000円(全席指定) ※チケット発売中 rent2024.jp
問い合わせ/☎︎06-6377-3800(梅田芸術劇場)

☑九月花形歌舞伎『あらしのよるに』

初心者こそ大歓迎、名作童話と歌舞伎のコラボ

オオカミとヤギという、食う/食われるもの同士の種族を超えた友情を描き、30年にわたってロングセラーとなっている絵本『あらしのよるに』。この作品を原作とした異色の歌舞伎が、9年ぶりに初演の地[南座]に戻ってくる。オオカミのがぶは、初演からこの役を演じ続けている中村獅童。ヤギのめいは、女方のホープとして数多くの舞台に出演し、関西とも縁の深い中村壱太郎が演じる。難しくて敷居が高いと思われがちな歌舞伎の世界だけど、本作は現代語の台詞を用いつつも、歌舞伎ならではの美術や演出はばっちりと楽しめる。これを見ずして何を見る? というほど、初めての歌舞伎にはピッタリだ。

『九月花形歌舞伎『あらしのよるに』』
日程/9/4(水)~26(木) 場所/南座
原作/きむらゆういち(講談社刊) 脚本/今井豊茂 演出・振付/藤間勘十郎 出演/中村獅童、中村壱太郎、中村錦之助 ほか 一等席13,000円 二等席8,000円 三等席4,000円 特別席14,000円(全席指定) ※チケット発売中 kabuki-bito.jp/theaters/kyoto/play/864
問い合わせ/☎︎075-561-1155(南座)

☑イキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』

SF会話劇の名手による、聞かせる「怪談」の世界

宇宙人や妖怪やドッペルゲンガーなど、センス・オブ・ワンダーの要素を大胆に取り入れつつも、ヒューマニズムにあふれた会話劇を送り続ける、作家・演出家の前川知大が率いる「イキウメ」。日本に「怪談」を定着させた功労者で、再来年のNHK朝ドラ『ばけばけ』にも登場する小泉八雲の小説を原作に、2009年に発表した作品を、リメイクして上演する。とある理由で古びた旅館に集まった人たちが、奇妙な話を代わるがわる披露する姿を、視覚より「聴覚」を意識した演出で見せていく。ホラー的な怖さというよりは、人間の業や闇の部分にゾッとしたり、逆に優しさや愛しさを再発見する機会になりそうだ。

イキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』
日程/9/5(木)~8(日) ABCホール
原作/小泉八雲 脚本・演出/前川知大 出演/浜田信也、安井順平、盛 隆二 ほか 
一般7,000円 25歳以下3,500円(全席指定) ※チケット発売中 ikiume.jp/kouengaiyou.html
問い合わせ/☎︎0570-200-888(キョードーインフォメーション)

SAVVY SELECTION 編集部の劇推し!

☑PARCO PRODUCE 2024『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』

佐々木蔵之介と上田竜也が初競演!!

佐々木蔵之介とKAT-TUN上田竜也が初の競演!今回の主役は、佐々木蔵之介演じる13世紀の神聖ローマ帝国皇帝・フェデリコ2世。ローマ教皇から三度も破門されながらも、十字軍遠征を中断させ、話し合いによってイスラム勢力との和平を実現した人物だ。進歩的過ぎて「生まれるのが早すぎた」 と言われた彼の姿は、むしろ今の私たちには、応援したくなる存在に映るはず。そんな彼が唯一思い通りにできない相手、息子・ドイツ王ハインリヒを演じるのは上田竜也だ。破天荒で”異端”な父へ苦悩を抱き、果ては父と正反対の道を進むハインリヒ。この父子の対立と確執はどこに向かうのか……二人の熱演に注目したい!

PARCO PRODUCE 2024『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』
日程/9/11(水)~16(月) 森ノ宮ピロティホール
作/阿部修英 演出/東憲司 出演/佐々木蔵之介、上田竜也、那須凜、栗原英雄、田中穂先、石原由宇、六角精児ほか 12,000円(全席指定)※チケット発売中 stage.parco.jp/program/federico/10588/ 
問い合わせ/☎︎0570-200-888(キョードーインフォメーション)

※チケットの販売状況、当日券については各公式サイトをご確認ください。

※この記事は2024年10月号からの転載です。記事に掲載されている情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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SAVVY1月号『よしもと漫才劇場となんば』
発売日 2024年11月22日(金)定 価 900円(税込)