今月、スパイされる人
坂下眞琴 さん
テーマは、“どこか知らない場所に出掛けたくなる本” 3冊
☑1.『グッド・フライト、グッド・ナイト パイロットが誘う最高の空旅』
著/マーク・ヴァンホーナッカー 訳/岡本由香子
ハヤカワ文庫 968円
☑2.『臆病者の自転車生活』
著/安達茉莉子 亜紀書房 1,760円
☑3.『旅するツール・ド・フランス』
著/小俣雄風太 太田出版 2,420円
旅というよりも、何かに乗って移動したくなる、そんなときに
「元々旅好き。遠くに住む知人に会いに行ったり、ライブなどの趣味で遠征するのはもちろん、旅というか移動そのものが好きなことに気付きました」と坂下さん。「とはいうものの外国旅行にしょっちゅう行けるわけでもないので、もっと飛行機などにも乗りたいと思っていたところ、気になって読み始めたのがこちらで」
1冊目は、ブリティッシュ・エアウェイズのパイロットが綴るエッセイ。雲の上の風景や夜間飛行のオーロラ、無線でのやりとりや国境のない空だからこそのやりとり……。「地上から遠く離れていることの爽快感や心許なさ、それ以上に、飛行機そのものを動かして飛ぶことがすごく魅力的に見えてきて、これ、もっと若いころに読んだら航空業界に入りたくなっただろうなあ、なんて思ってしまいました」。実は著者も、経営コンサルタントを経てパイロット職に就いたそうで、実際にそんな夢をかなえた一人でもある。
「手っ取り早く自分の思い通りになるのは……やっぱり自転車ですよね」と坂下さんが手に取った2冊目は自転車エッセイ集。ちょっぴり控え目でいろいろなことを「できない」と思いがちだった著者が、電動アシスト自転車を手に入れたことをきっかけに、やがてロードバイクに出合い、街場のサイクリングから北海道への自転車旅へと踏み出していく。「乗り物を手に入れて、自分の意志や決断によって移動することができる楽しさが伝わってきて、自分もなんだかいても立ってもいられなくなってしまいました」
3冊目は、夏のフランスの代名詞でもある自転車レース、ツール・ド・フランスを取材した旅の記録。フランス国内で約3週間をかけて行われるプロのロードレースの大会だ。「こちらは、自転車に乗るどころか、現地にレースを観に行って各街を楽しみながら旅するのが目的ですね。本の中にはレースの舞台になる各街の文化やエピソードなども満載で、ロードレースに詳しくなくても、いろいろな街に訪れてみたくなりました」