このアーティスト、要チェック!
今月のNEWSな人
取材・文/竹内 厚 写真/竹田俊吾
『築山有城 Exhibition 2024』
期間:開催中~8月3日(土)
場所:TEZUKAYAMA GALLERY
あらゆることが制作の糧
もちろん、C.A.P.代表も
築山有城さんは毎夏、大阪の[TEZUKAYAMA GALLERY]での個展を開催。聞けば、40歳となった2017年から50歳を迎える2026年まで10年連続の個展を予定しているという。その個展で発表される作品が毎年、扱う素材も技法もまるで違っているのが面白い。
「1年目は、一つのペンキ缶を1枚のパネルに1日で全て塗り切るって決めて、午前中から夜の10時くらいまでかけてずっと塗ってました。そのパネルに合わせて塗った刷毛、ペンキ缶も展示して。ある年は、250㎏を超えるクスノキの塊があったので、かっこいい立体を作ろうかなとも思ったけど、眺めてたら愛着が湧いてきて、手鋸で引いて数カ月かけて6等分にしました。眼の前にある物との対話から、どう展開したら面白いかなって考えることが多いですね」
一度作ったものに固執することなく、遊びの感覚であらゆる物と向き合うようなやり方。結果的になかなか茨の道を進んでいるようにも見える。
「単純作業を繰り返すなかで次のビジョンが見えてくるはずだとも思っていて、まず自分の体を使って向き合ってみる。きっと徒労が好きなんです」
そんな築山さんは昨年から、神戸で約30年続くアーティストコレクティブ、C.A.P.(芸術と計画会議)の代表にも就任。C.A.P.といえば、神戸の山手にある[KOBE STUDIO Y3] という開放的なアーティストスタジオを運営していることでも知られるが、当初は築山さんも制作場所を求めてこの場所を訪れた。それが、毎月の運営会議に参加しながら、制作と展示だけに留まることのないC.A.P.の活動に触れるうちに、C.A.P.をなくしてはいけないという気持ちになってきたという。
「これだけ続いてきたアーティストのコミュニティーやコレクティブって関西にほとんど例がなくて。長年活動してきたからこそ、海外も含めたさまざまなアーティストとつながりもたくさんあって、これは絶対に維持したほうがいいと思うから」
C.A.P発起人で最初の代表を務めたアーティストの杉山知子さん、それを引き継いで約10年運営を続けてきた下田展久さんを継ぐ形となった築山さんだが、’90年代、設立時の現場に立ち会ってない代表は初。「C.A.P.としてもっと積極的に街へ出ていきたい」といった、ますますのフレッシュな展開が期待されるところだが、今回は築山さんの制作の話なので、そちらに強引につなげてもらうと……。
「C.A.P.に関わる中で、僕も制作過程をオープンにして見せるという経験を培ってきたし、次々といろいろな人と出会って、いろんな技術や仕事に関わってきました。これが自分の制作に大きく影響を与えてることは間違いない。だから、代表としてマネジメント的な仕事が増えていることもいつか作品の糧になるやろうなって。お金とか経理のことをこんなに考えるようになるとも思ってなかったので(笑)」
築山有城 Yuki Tsukiyama
1976年神戸市生まれ。2023年からC.A.P.代表に。開催中の個展では石膏像と牛骨を素材に制作。古代ギリシャ彫刻を元にした石膏に鑿(のみ)を入れて「彫刻作品」に。
『築山有城 Exhibition 2024』
期間:開催中~8月3日(土)
場所:TEZUKAYAMA GALLERY
- 住所大阪市西区南堀江1-19-27 山崎ビル2F
- 営業時間12:00~19:00
- 休館日日・祝・月
- 入場料無料
- アクセス各線なんば駅から徒歩7分