今月のイチオシ作品を、20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けるフリーライター・吉永美和子が5作品をピックアップ!
☑戸田恵子一人芝居
『虹のかけら~もうひとりのジュディ』
三谷幸喜作品に改めて向き合う戸田に直撃!
三谷幸喜が2018年に、戸田恵子の還暦記念に書き下ろした一人舞台。映画『オズの魔法使い』などで知られる女優、ジュディ・ガーランドの生涯を、朗読劇と音楽ライブをミックスした形で描き出す。声優から歌手までマルチに活躍する、戸田のスキルと魅力を生かした舞台が、米国の名門劇場ニューヨーク・カーネギー・ワイル・リサイタルホールで上演されることになり、日本でも凱旋公演が行われる。「カーネギーは、長年この仕事を続けてきたご褒美。とにかく楽しもうという気持ちです」という戸田。ジュディ本人を演じるのではなく、彼女の付き人の日記を通して、その生涯を追うという趣向もユニークだ。「(付き人の)私情が入る分、さらに面白く観られるのでは。波乱万丈だった彼女の人生を、すごく讃えたいと思って演じています」と意気込みを語り、さらに「半分コンサートのような構成ですが、曲が本当に文句なく素晴らしいです。『虹の彼方に』しか聞いたことがないような方たちにも、もっとジュディのことを知ってもらう機会になれば」と、ライブとしても楽しめることをアピールした。三谷らしいエンタメ性あふれる舞台ながらも、「女優」という生き方を選んだ人間の、光と影の強さに圧倒されるはずだ。
戸田恵子一人芝居『虹のかけら~もうひとりのジュディ』
日程/7/5(金)~7/7(日)
会場/COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
構成・演出/三谷幸喜
出演/戸田恵子
演奏/荻野清子(ピアノ)、BUN Imai(ドラム)、鈴木陽子(ベース)
料金/9,300円(全席指定) ※チケット発売中 nijinokakera.jp
問い合わせ/キョードーインフォメーション(☎︎0570-200-888)
☑ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
不朽の名作をWキャストで楽しんで
世界でもっとも有名な恋愛悲劇をミュージカル化した、フランス発の舞台。2011年の日本初公演以来、城田 優や古川雄大などの名だたる俳優たちが挑戦してきた、若手の登竜門でもある。二つの家が争うヴェローナの街の情景や、敵同士なのに激しい恋に落ちた若い恋人たちの心情などが、ポップでキャッチーな楽曲によって分かりやすく、そして増幅して観る側に伝わるのが、他のロミジュリ作品にはない魅力。ロミオとジュリエットはWキャスト制なので、気になる組み合わせを選べるという楽しみも。
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
日程/7/3(水)~7/15(月・祝)
会場/梅田芸術劇場メインホール
出演/小関裕太・岡宮来夢、吉柳咲良・奥田いろは(乃木坂46)、内海啓貴・石川凌雅、伊藤あさひ・笹森裕貴、太田基裕・水田航生、栗山廉 (K-BALLET TOKYO) /キム・セジョン(東京シティ・バレエ団)※以上Wキャスト ほか
料金/S席14,000円、A席9,000円、B席5,500円(土・日・祝 S席15,000円、A席9,500円、B席6,000円・全席指定) ※チケット発売中 www.rj-2024.com
問い合わせ/梅田芸術劇場(☎︎06-6377-3800)
☑鈴木保奈美主演
『逃奔政走−嘘つきは政治家のはじまり?−』
鈴木保奈美が政治コメディに挑戦!
『東京ラブストーリー』など、今も語り継がれる伝説のドラマの数々で主役を務め、近年は舞台にも積極的に出演している鈴木保奈美。「第二の三谷幸喜」との呼び声が高く、鈴木もかねてから出演を熱望した冨坂 友の作品で、コメディの舞台では初主演を果たす。女性県知事が不祥事を隠すため、あれやこれやの手を尽くしていく物語は、現在の政治問題を反映しつつも「2時間夢中になって観て、笑っていただける作品」と鈴木が保証。巧妙な伏線が仕掛けられた、技ありのストーリーに驚かされるはず!
鈴木保奈美主演『逃奔政走−嘘つきは政治家のはじまり?−』
日程/7/20(土)・21(日)
会場/京都劇場
脚本・演出/冨坂 友
出演/鈴木保奈美、寺西拓人、相島一之、佐藤B作 ほか
料金/S席10,000円 A席8,000円(全席指定)、立見7,000円 ※チケット発売中 www.touhonseisou.jp
問い合わせ/キョードーインフォメーション(☎︎0570-200-888)
☑『ウーマン・イン・ブラック~黒い服の女~』
演劇だからこそ生まれる恐怖に戦慄
中年弁護士が俳優を雇い、若い頃の恐ろしい体験談を舞台化することに。そこで彼が語ったのは、呪われた「黒い服の女」の物語だった……。英国では34年間もロングラン公演が行われ、日本でも幾度も上演されてきたホラー演劇の最高傑作に、向井 理&勝村政信のタッグが挑む。たった二人で演じるからこそ、観客の想像力を試されるシーンが多いけど、実はそれこそが恐怖感を倍増させる最高の仕掛け。極端に怖いものが苦手ではない限り、ぜひ一生に一度は味わっておきたい、演劇の醍醐味が詰まった舞台だ。
『ウーマン・イン・ブラック~黒い服の女~』
日程/7/5(金) ~ 7/8(月)
会場/森ノ宮ピロティホール
原作/スーザン・ヒル
脚色/スティーブン・マラトレット
演出/ロビン・ハーフォード アントニー・イーデン
出演/向井 理、勝村政信
料金/11,000円(全席指定) ※チケット発売中 stage.parco.jp/program/wib2024
問い合わせ/キョードーインフォメーション(☎︎0570-200-888)
☑『ダブリンの鐘つきカビ人間』
トラジャ二人が異色のミュージカルに
Travis Japanの七五三掛龍也&吉澤閑也が、ダークファンタジーの傑作をベースにしたミュージカルに出演。関西小劇場界が生んだ鬼才・後藤ひろひとの脚本作品を、「東京2020パラリンピック」開会式の演出を務めたウォーリー木下が、ポップで心躍る楽曲が満載の舞台にトランスフォームする。中世を思わせる街で、ある時住民が一斉に謎のはやり病にかかっていく。病のせいで、心と体が入れ替わり、心は純粋だが、醜い容姿になってしまったカビ人間(七五三掛)と、思ったことと反対のことしか言えなくなった少女(伊原六花)、そしてその物語の世界の中に入り込んでしまった聡(吉澤)と真奈美(加藤梨里香)の2組の恋の物語。歌とダンスは折り紙付きの七五三掛&吉澤と、個性派ぞろいのキャストによって、今回もまた、笑いのち号泣の世界になるのは必至だ。
『ダブリンの鐘つきカビ人間』
日程/7/20(土)~7/29(月)
会場/COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
作/後藤ひろひと
演出・脚本/ウォーリー木下
音楽・音楽監督/中村大史
出演/七五三掛龍也、吉澤閑也、伊原六花、加藤梨里香、松尾貴史、中村梅雀 ほか
料金/13,000円(全席指定) ※チケット7/7前売発売開始 stage.parco.jp/program/dublin2024
問い合わせ/キョードーインフォメーション(☎︎0570-200-888)
文/吉永美和子
20年以上関西の演劇シーンを見つめ続けているフリーライター。地元の小劇団から伝統芸能まで、ジャンルを問わずに観劇している。趣味は旅行と、いろんなお茶をたしなむこと。
※チケットの販売状況、当日券については各公式サイトをご確認ください。
※この記事は2024年8月号からの転載です。記事に掲載されている情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。