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今月、スパイされる人
片山 三睦 さん

映画やドラマ好きのインドア派30代。京都生まれだが現在は家族の事情で北陸在住。

テーマは、“初めて出会う人たちの中でどう過ごす?” の 3冊

☑1. 『性格が合わないんじゃなくて話がかみ合っていないから』


著/稲場真由美 WAVE出版 1,650円

☑2. 『優しい地獄』


著/イリナ・グリゴレ 亜紀書房 1,980円

☑3. 『匂いが命を決める──ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』


著/ビル・S・ハンソン 訳/大沢 章子 亜紀書房 2,860円

心機一転、新しい環境に飛び込む前に読みたい異色の3冊

 家族の転勤で、年明けに住み慣れた土地を離れたばかりという片山さん。それまで就いていた仕事もいったん辞め、4月から、引っ越し先で新しい仕事を見つけたそう。「今まで転職や遠方への引っ越しをしたことがなかったのでやや環境の変化に戸惑い気味です。人付き合いが苦手というわけではないのですが、納得いかないことがあるとそこから進めない性格でもあり、最初につまずかないようにしなきゃ……なんて、逆に気負っちゃったり」

 1冊目は、「どうして分かってくれないの?」「なんでそんなことを言うの?」など、他人との関わりの中でモヤモヤしながら生きる人に向けて、会話などを分析しながらストレスにならない受け止め方を紹介していく本。「臨機応変に動きたいのか、計画的に進めたいのかなど、この本を読んでいる自分がそもそもどんな性格なのか考えながら、いろいろな“イラッとするケース”を分析していくので、実生活に当てはまることも多い。平たく言えば、冷たかったり雑な対応に感じたりする会話でも、相手に悪気があるばかりではないということが理解できます。自分の言動も注意しなくちゃいけないですね」

 2冊目は、ルーマニアに生まれ、現在は日本で暮らす人類学者の自伝的エッセイ。「社会主義国のルーマニアから日本文化に魅せられて留学してからの、カルチャーショックや見知らぬ土地で気付いた共感が、イメージが浮かび上がってくるような文章で書かれていて、まるで大河小説の一節を読んでいるみたいです」

 3冊目は、言葉よりもダイレクトな“匂い”による動植物のコミュニケーションに関する専門書。「フェロモンや花の匂い、腐臭といった分かりやすい話から、地雷を嗅いで探す犬の話まで多岐で面白い。たしかに、頭で知覚する前に『あ、なんかいい匂い』って感じることありますよね」

 新しい環境でも、ちょっと不安な状況になる前に、匂いで事前察知できれば便利なのに、と笑う片山さんでした。

※この記事は2024年7月号からの転載です。記事に掲載されている情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認ください。
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SAVVY12月号『電車旅』
発売日 2024年10月23日(水)定 価 900円(税込)