神戸・元町四丁目の本屋[本の栞]を営む、則松栞さんの日々のブックマーク
VOL.7
とにかくすべてをおいしく食べたい
text and photo
則松 栞(のりまつ しおり)
[本の栞]は9月で3周年です。ありがとうございます!
9/8(金)には山内弘太さん、Tokiyoさんによるライブも。
詳細はHP、SNSをご覧ください。
6.27 Tue.
のろのろ起きてきて、ひとまず冷凍庫ののこりもののとんかつでカツサンドをつくって食べた。のこりものをおいしく食べられるとうれしい。とにかくすべての食べ物をおいしく食べたいという気持ちで生きている。
ちょっとぐらい外にでなければ、と散歩がてら六甲の方へ。天気もよいし軽い足取りで出かけたが、思っていたよりもずっと暑くてすぐに汗だくになった。やっとこさたどり着いた[haku+] 1 でダークグレーのイブルを買う。それから、6年ぶりぐらいに[六珈] 2 に。昔、[口笛文庫] 3 に通っていたころに何度か行っていて、そのときはとても話しかけようなんて思いもしなかった、神経質そうで物静かな、職人のように珈琲を淹れるマスターとは、ひょんなことから知り合いになった。[高田屋] 4 のじゅんさいの話でしばらく盛り上がる。わいわいとしゃべってから、時折、気を取りなおすように静かな顔に戻るのが見ていておもしろかった。珈琲を飲むと、体質に合わないのかときどき体調がわるくなることがあって一年ほど避けていたけれど、ここ最近は飲める日もあるので、博打みたいなもんと割り切ってたまに飲んでいる。美味しいし、珈琲。この日は大丈夫だった。
コンビニにコーネリアス 5 のCDを受け取りに行きたかったので、最寄りの阪急とJRのあいだをぶらつきながら、ついさっき配信が開始された新譜を聴く。すごく良い。それぞれ連絡を取りあっていた人たちからいきなり返信が来なくなって、そのままアルバムは最後の曲「無常の世界」へと移って、終電が行ったあとの駅前はがらんとしていて、すごく寂しくて、良かった。
7.21 fri.
営業中、外に出て草に水をやっていたら、心の中で勝手に「オペラさん」と呼んでいるお客さんが自転車で通りがかって手を振ってくれて、ちょっとうれしい気持ちになった。オペラさんはオペラ歌手のような風貌なのでオペラさん。いつも前回買った本の感想を教えてくれて、次のおすすめを聞いてくれる。
リトルプレスのカルチャー誌『VACANCES』 6 の方が連絡をくれたので数冊仕入れる。SNSで見かけて気になっていたのでうれしい。ダウ90000 7 の蓮見さんとスカート 8 の澤部さんの「雑談」(「対談」ではないのが良い)が載っていて、東京に住んでいる弟がダウのファンらしいので1冊送ってやることにする。
僕らは人にインタビューすることを生業にしている。その中で、ずっと憧れていた人に話を聞ける機会もたくさんある。ただ、当然そこには仕事をくれたメディアの意向が介在していて、「もっと何気ない話をしたいのに!」という思いを胸に秘めながら集中して取材を進行しなくてはならない。せっかく自分たちの雑誌をつくるのだから、好きな人たちと無邪気に雑談を楽しみたい。
べつに教師でも医者でもなんでもないのに、勝手に「先生」と呼んでいる友人がひょっこりとやって来た。パン屋のプリンとお香一本をお土産、と渡される。お香を嗅ぐのってなんて言うんだっけ。よむ? みる? きく? きくかな。店の隅っこで焚いて、並んできく。
前に来たときに買っていった『三人の日記集合、解散!』 9 をまた買おうとしていたので笑いながら止めた。『三人の日記~』はその名の通り、植本一子さん、金川晋吾さん、滝口悠生さん3人の同じ日付の日記が並んで載っている本。先生は金川さんと大学の同期らしい。日記の最後に、それぞれの「今日の体調」「今日の装い」「今日のひとこと」が書いてあるのがおもしろかったので、真似してみる。
「今日の体調」夏バテ気味。
「今日の装い」ヒノキの、どっかの民族みたいな形のオールインワン。グレー。トイレのとき一回裸にならざるを得ないやつ。
「今日のひとこと」「その本……こないだも買ってましたよ!」
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