脳裏にリフレインされる昨夜の恋心
☑『ショップ・ファッション・ライフ』/河内宙夢&A few friends
*ミロクレコーズ 発売中 2,750円
どこか不安定でありながらも、色気を感じさせるボーカル・河内宙夢が歌うのは、大げさ過ぎるほどの純真な愛。いびつな連帯感をもったA few friendsのメンバーそれぞれのプレイは、とりわけショッピングモールのチープなBGMを思わせるキーボードのサウンド効果により、さらにストレンジ・ポップでロマンチックな世界へとじわじわ引き込んでいく。酩酊した翌日の昼間などに何度も脳裏にリフレインされる、昨夜の恋心みたいだ。
〈さらに、あなたへのおすすめディスクは〉
☑『結婚出産離婚引越し戦争入院創造』(2023年)/豊田道倫
河内宙夢& A few friendsの今作をプロデュースした、豊田道倫のベストアルバム。収録曲「東京の恋人」は一度聴いたら忘れられない。破壊的な音に殴られながら、言語化できない人生の取りこぼしを圧倒的な歌詞がそっと抱きしめてくれる。
文/Tokiyo Ooto
自由な空気とみずみずしい自然体の独創
☑ 『Contact』/角銅真実
*ユニバーサルミュージック 発売中 3,300円
名作『oar』から4年ぶりとなる打楽器奏者/シンガー・ソングライターの新作。聞いていると、この自由な空気感に鼻歌で勝手に混じりたくなってくる。そんな開放的で、みずみずしいアコースティックな演奏。お喋りのような柔らかい歌、マリンバ、フルート、フィールドレコーディング、そして名うてのミュージシャンたちの演奏も、彼女ならではの自然体の独創に寄り添うかのよう。Choro Club出身の「長崎ぶらぶら節」民謡カバーも。
〈さらに、あなたへのおすすめディスクは〉
☑『Plux Quba』(1988年)/Nuno Canavarro
エレクトロニカ、というカテゴライズがまだなかった頃に発表。1998年に発掘され、話題を呼んだポルトガルの音楽家の名作。ジャンルは違えど、電子音とピアノ、環境音による開放的で独創の音風景は『Contact』と併せてぜひ。
文/中村悠介
春にぴったりな癒やしのR&B
☑ 『talking to the wind』/UMI
*Spotify ほかデジタルリリース 発売中
アメリカはシアトルにて、日本人の母とアメリカ人の父の元に生まれる。最近では、同じく日本の血を引くシンガーのJoyce Wriceとの楽曲や、BTSのVを迎えた「wherever u r」など、アジア圏での活躍も目覚ましい彼女。最新EPは、持ち味のタイトでミニマムな音の構成を生かしつつ、ファンクの要素などを取り入れた軽やかな聴き心地の一作。4月には大阪でのライブや京都・両足院でのスペシャルメディテーションイベントも控える。
〈さらに、あなたへのおすすめディスクは〉
☑『Drive Slow』(2017年)/Mac A yres
春のヒーリングネオソウルといえば、な一枚。UMIと同じ米西海岸を拠点とするシンガーソングライターで、D’AngeloやJ.Dillaを想起させるトラックと、ソフトな歌声に癒やされ溶かされてほしい。お薦めトラックは「Slow Down」。
文/吉田暁音(SAVVY)
※この記事は2024年4月号からの転載です。記事に掲載の情報は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。