観る前に知りたい!アート深掘り話
文/岡山 拓
『テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ』
期間:10月26日(木)~2024年1月14日(日)
場所:大阪中之島美術館 5階展示室
ヤバイくらいの豪華ラインアップ
ジェームズ・タレル《レイマー、ブルー》1969年
テート美術館はテート・ブリテンに始まり、英国内に四つの美術館を持っている。19世紀から現代まで、ブリティッシュ・アートを中心に優れたコレクションを誇り、入館料無料という事も、ユニークな美術館だ。
コレクションの柱の一つに19世紀にウィリアム・ターナー自ら寄贈した絵画がある。ターナーは、油彩画だけでなく水彩絵具も自在に操り、風景画を多く手掛けたロマン主義の天才画家。自然光の表現にこだわりをみせ、大気の描写は絵画の世界に革命をもたらしたと言える。本展のテーマ「光」に最もふさわしい画家だ。視覚芸術たる美術における「光」はいつの時代も大問題で、テートの巨大コレクションの中から、各時代のトップランナーの作品が並ぶ。ターナーと同時代の風景画家、ジョン・コンスタブル、印象派からクロード・モネ、抽象画の創始者ワシリー・カンディンスキー、アメリカの抽象表現主義からマーク・ロスコ、現代絵画の最重要人物ゲルハルト・リヒターなど、近代美術史の教科書レベルのアーティストが続くのだ。しかも初心者でも親しめる分かりやすい「光」というテーマが良い。
さらに注目は、オラファー・エリアソンとジェームズ・タレルの光る作品が展示されること。二人とも日本でも何度も個展をしている人気アーティストで、タレルは金沢の21世紀美術館や直島の地中美術館の建築と一体化した作品で知っている人もいるだろう。二人とも光の表現をライフワークとしており、直接的に視覚に訴えるので観たときの印象が深い。タレルは長方形の隙間から量感を持った青い光が現れ、空間全体を青で満たす。そこでは、色を見るとは光を見ることだと体感させられる。エリアソンは幾何学的で複雑な内部構造を持つミラーボールのような球体にライトを当てて、宇宙的な空間を生み出す。アートを苦手と思っている人でも思わずハマってしまう要素が詰め込まれている展覧会。ちょっと豪華すぎて、この文字数では伝えきれないぞ。
『テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ』
期間:10月26日(木)~2024年1月14日(日)
場所:大阪中之島美術館 5階展示室
- 電話番号06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)
- 住所大阪市北区中之島4-3-1
- 営業時間10:00~17:00 (最終入場~16:30)
- 定休日月(1/8開館)&12/31・1/1
- 料金観覧料2,100円
- アクセス京阪渡辺橋駅から徒歩5分
※この記事は2023年12月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。