見る前に知りたい!アート深掘り話
文/岡山 拓
『特別展「Perfume COSTUME MUSEUM」』
期間:開催中~11月26日(日)
場所:兵庫県立美術館
世界観を伝えるクリエイション
クラブ・ミュージックとされたテクノ・サウンドを、世に広めた先駆的ガールズ・ユニットであり、サウンドのみならず、ダンス、ファッション、MVなど、総合的にプロデュースされたPerfume。楽曲は中田ヤスタカが手掛け、振り付けはメジャーデビュー前から固い絆で結ばれたMIKIKO、MVは映像ディレクターの関 和亮が担い、唯一無二の存在感を示し続けている。
メジャーデビューしたのは2005年で、初期から担当するスタイリスト・内澤 研は、既製服を使ったスタイリングもしていた。あ~ちゃんの膝丈、かしゆかのミニ丈、のっちのパンツスタイルと、ヘアメイクも含めキャラクター性を持った衣装展開が決まったのもこの時期だ。
2010年のドーム公演からは、Toshio Takeda、三田真一が加わり、よりコンセプチュアルなコスチュームへと発展し、MVと相まってグラフィカルな印象も進む。例えば、世界進出を視野に入れた『JPN』では、日本らしさをコンセプトに着物を思わせる腰や襟の設えに、柄をプリント ではなく、布と布をはめ込む象嵌(ぞうがん)の技法を使っている。今展では、型紙など裏側も展示する。
今回の展示は、書籍『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』(文化出版局、2020年)からの展開で、最新のコスチュームを追加した約170着を展示。大きな紙を切って衣装に見立てたメインビジュアルは、アートディレクター・吉田ユニが手掛けた書籍カバーの別バージョンで、この展覧会のために新たに撮影。コスチュームは舞台や映像という特殊なシーンで活躍するために作られるので、日常的なファッションとの接点は限られる。また、参加しているクリエイター達は、Perfumeを総合芸術だと考えていて、コスチュームはあくまで世界観を生み出すパーツの一つとしてデザイン。広島出身の少女アイドルが国民的アーティストに成長する過程を、歴代のコスチュームからたどる。ファンでなくともその世界観とクリエイションの進化には目を見張るだろう。
『特別展「Perfume COSTUME MUSEUM」』
期間:開催中~11月26日(日)
場所:兵庫県立美術館
- 電話番号078-262-1011
- 住所神戸市中央区脇浜海 岸通1-1-1 HAT神戸内
- 営業時間10:00~18:00 (最終入場~17:30)
- 定休日月&9/19、10/10 (9/18、10/9は開館)
- 料金入場料1,800円
- アクセス阪神岩屋駅から徒歩8分
※この記事は2023年10月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。