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ダンス&ボーカルグループ・THE RAM PAGEのボーカリストとして活躍する川村壱馬。芯が通った低音ボイスで、時には挑発的で力強く、時には艶やかで甘く、と楽曲によって多彩な表現を使い分けながら強い存在感を放つ彼が、この春は連続ドラマに出演する。歌手で培った表現力を役者としていかに昇華するのか? 今作に対する意気込みを聞いた。

物語を輝かせる存在として
作品の中でナチュラルにたたずみたい

「演技をする人になる」が物心つく頃からの夢だった

編集部(以下、編) 連続ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』での出演が決まったときの感想はいかがでしたか?
川村壱馬(以下、川村) シンプルにうれしかったですね。演技のお仕事ももっと挑戦してみたいと思っていたので、お話をいただけたことに感謝しています。
編 川村さんが演じられる「賢太」というキャラクターは、カフェをこよなく愛する好青年だとか。これまではやんちゃな役や個性的な役を演じる機会が多かったと思いますが、今回は良い意味での〝普通〟な青年の役ですね。
川村 そうですね、へんてこなやつが多かったです(笑)。これまでは、キャラクターの性格や作品の世界観もあって、オーバーなお芝居が求められることが多かったのですが、今回は自分の感覚を信じて自然体でお芝居ができればな、と思っています。普段から、歌にしても、ビジュアル撮影にしても、基本的にナチュラルでありたいと思っていて。そういう意味では「賢太」は、僕の個性とマッチした役どころなのかな、と思っています。
編 新たな川村さんの一面というよりも、川村さんの真骨頂が見られる、ということですね。演技のお仕事は以前からご興味はあったんでしょうか?
川村 ありました。幼い頃からよくテレビを観ていて、物心つく頃にはすでに将来自分はテレビ画面の中にいるとなぜか信じていて。演技力があるとか、容姿が優れている自信があるとかではなく、神からのお告げみたいな直感というか(笑)。その後、明確に歌手になりたいという夢ができてオーディションを経てこの世界に入らせてもらった時も、いつかお芝居を自分がすることになると確信していました。

歌も演技も、僕にとっては表現の仕方は同じ

編 なんと、そんな昔からすでに現在につながるビジョンが見えていたのですね。歌とお芝居、まったく別の表現だと思うのですが、それぞれどのようなことに心がけて取り組んでいらっしゃいますか?
川村 僕の中では、歌もお芝居もあまり違いはないと思っています。歌に関しては、歌詞は小さな台本で、その歌の主人公になりきって表現する。ライブでも曲ごとに声の出し方やしぐさなども変えていて。ファンの方にも「さっきの曲ではワイルドだったのに、次の曲だとめちゃくちゃ甘い。なんでそんな一瞬で表情が変わるの?」と言っていただくこともあります。だから取り組み方としてはあんまり変わらないかな、と。
編 なるほど。確かに楽曲ごとに印象がすごく変わるな、と感じていました。表現としては歌唱もお芝居もご自身の中では変わらないんですね。
川村 そうですね。変わるとしたらお芝居には音がないってところだけでしょうか。歌う時はメロディーに感情が大きく影響されるのですが、お芝居にはそれが無いので、その分自分自身で気持ちを作っていかないといけない。そういう意味では歌唱よりお芝居のほうがエネルギーを使うかもしれませんね。
編 お芝居をする上で、先輩やメンバーに相談をしたり、アドバイスを求めることはありますか?
川村 まったくないです。レッスンとかも受けたほうがいいのかもしれないけれど、感情の出し方とかって教えてもらうもんじゃないと思うところがあって。演技経験が少なくて無知だからこそ、そういうことを言ってしまうのかもしれないけれど、これまで生きてきた中でいろんな体験をしていろんな感情を経験してきたと自負しています。だから今は、培った感性で勝負したいな、と思っています。
編 今作では、清野菜名さん、岸井ゆきのさん、生見愛瑠さん、岡山天音さんといった同世代の実力派をはじめ、和久井映見さん、宮本信子さんらベテラン俳優との共演、と骨太なキャスティングに。日常を舞台にした会話劇となるようですが、共演者とのかけあいも楽しみですね。
川村 はい。まさに「歴戦のつわもの」という言葉がふさわしい役者さんたちばかりなので、とても楽しみです。共演者の皆さんや監督や、スタッフの皆さんに引っ張っていただくことも多くなると思いますが、現場で日々吸収して勉強させてもらいながら、物語を輝かせる存在となれるよう、丁寧に演じられたらと思います。

目標に向かって明確なビジョンを持ち、肝が据わった着実な足取りで歩み続ける川村さん。初の挑戦となる、会話劇をベースとした連続ドラマの出演は、きっと彼にさらなる表現の深みを与えてくれそう。そんな川村さん演じる「賢太」のキラースマイルは必見です。日曜夜の癒やしとして、ぜひお楽しみに。

Profile
川村壱馬
1997年生まれ、大阪市出身。THE RAMPAGEのボーカル。2014年にボーカルオーディションにて候補メンバーとして選出され、同年正式メンバーとなる。2017年「Lightning」でメジャーデビュー。主な出演作に『HiGH&LOW THE WORST』(2019)、『貞子DX』(2022) などがある。

TV On Air
『日曜の夜ぐらいは…』テレビ朝日系にて2023年4月30日(日)22時スタート
漫然とした暮らしの中で行き詰まっていた、岸田サチ(清野菜名)、野田翔子(岸井ゆきの)、樋口若葉 (生見愛瑠)。離れた場所に住み、お互いの存在も知らない3人は、あるラジオ番組をきっかけに運命的な出会いを果たす。お互いに戸惑いながらも心を通わせ始めた3人の友情を、ハートフルに描く。

出演/清野菜名、岸井ゆきの、生見愛瑠、岡山天音、川村壱馬(THE RAMPAGE) ほか
脚本/岡田惠和 演出/新城毅彦  企画・プロデュース/清水一幸
『日曜の夜ぐらいは…』公式Instagram:@nichigura_abc

写真/コーダマサヒロ 取材・文/杉田裕路子

※この記事は、2023年6月号からの転載です。

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