フロイン堂55__HE

そこに粉があるから
手でこねる
理由があります。

パンは、粉をこねて生地を作って焼く。
多くのパン屋さんが、ミキサーを使ってこねる。
でもこの2軒は、お店で売っているパンすべての生地を
手でこねている。その理由を聞きました。

神戸・岡本[フロイン堂]
手の感触と第六感を信じて……生地をこね、丸め、焼いていく

朝一番、[フロイン堂]の仕事は生地を練るところから始まる。"古代エジプトのパン作りの壁画"に描かれていたような大きな木桶に小麦粉、水を入れて、体全体を使って生地を混ぜていく……。約40分休むことなく、練りむらがないように、縦横、上下の層を重ね練る。おいしいパンができるよう魂を込めて練る姿は、全身全霊! まるで祈りのような作業。

大人が一人入れそうな大きさの桶に25kg(日によっては30kg)の粉、水、塩、砂糖などをこねること40分。集中力と持久力と気合いの作業だ。

「掌(たなごころ)から伝わる柔らかさ、弾力、温度なんかを感じながら、自分自身の第六感も信じてパンを作りたいって言うのがあるんです」と、お父さんこと竹内善之さん。そんな手仕込みの生地を、お父さんが大切にしているドイツ式レンガ窯で焼く。手ごねとレンガ窯とお父さん、この最強の組み合わせだからこそ、[フロイン堂]だけの味が生まれる。

お父さんの手は、つやつやですべすべ。柔らかなこの手の平は、生地と親友だから? お父さんいわく「ちょっと頑固な親友ですね」とのこと。

食パンが山型なのは「生地にふたをして閉じ込めるのがかわいそう」というお父さんの気持ちから。食パンの焼き上がりは午後2時。パチパチと生地が弾ける音もおいしい。1本930円

現在生地を練るのは、店主・竹内善之さん(中)の孫である4代目の陸人さん(左)。善之さんと3代目隆さん(右)は、見守り役?

もうひとつのこだわりとは…
ドイツ式のレンガ窯は、戦災も震災にも負けなかった強運の持ち主。早朝から火を入れて温度を上げた釜の遠赤外熱でじんわり焼き上げています。

店舗情報
神戸・岡本
フロイン堂
  • 電話番号
    078-411-6686
  • 住所
    神戸市東灘区岡本1-11-23
  • 営業時間
    9:00~18:00
  • 定休日
    日&祝&第1・3水
  • アクセス
    阪急岡本駅から徒歩3分

写真/米田真也 取材・文/いなだみほ

※この記事は2023年1月号からの転載です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は掲載時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。最新情報をご確認の上お出かけください。

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