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INTERVIEW CINEMA 誌面で紹介できなかった裏側をご紹介

もたいさんに教わる、ワンピースとメガネと乙女心と。

もたいまさこ
09.09.10 UPDATE

「ぬっ」とか、「すっ」とか、「ひょこっ」とか。
いつもそんな風に現れる気がする。
ガラっと戸を開けると、「うわっ、いたーっ」とびっくぅとする、あの感じ。
スクリーンでは、けっこう神出鬼没系。
で、登場した瞬間から釘付けになる。その吸引力、ダイソンの掃除機以上。
もたいさんが登場すると、空気が変わるからかもしれない。
そしてなんとなく、救いの兆しが感じられるからかも
(時には、不穏のベールで覆うような風変わりな役だったりもするけれど)。

映画『プール』もそうだった。
場面が切り替わって、一瞬、音がなくなった瞬間、もたいさんがいた。
ほわりとした微笑みをたたえて。
あぁ、救いの天使が来ましたよ...。
大至急、心のうちを聞いてもらえないでしょうか。
もたいさんになら、全部話せる気がします...。
そんな思いでその姿を追いかけているうち、あることに気づいた。
ワンピースが、かわいい。
丸い襟。リボン。紺に白いさくらんぼ柄。小花柄。
スクリーンの中のもたいさんは、とってもガーリーなワンピースを着ている。

そして今、目の前のもたいさんも、
水玉のシャツに、ギャザーがたっぷり入った緑色のスカート。
やっぱりガーリーで...かわいい♥
 
0910cinema01.jpg
 
「衣装は、スタイリストの堀越(絹衣)さんが、
私がいつも着ている服を参考に生地を選んで縫ってくださるんです。
特にワンピースは普段も好きでよく着ているからかしらね。
やっぱり、自分が好きな服って着心地もいいし、気持ちもいいでしょう? 
そういう服のほうが、スクリーンでも自然に映るからって。
そこまで考えていてくださるのよね」。
飾ったところのない、素直な形。そして、女の子らしい柄。
それはずっと、もたいさんにとって「特別な服」だった。
「子どもの頃、お出かけの時は必ずワンピースだったの。
今でも、特別感がある服ですね。
それに、着ると、"女の子"って感じられるものねぇ」。
...ですよね! やっぱり我ら、いくつになっても女の子なんですよね! 
見た目と乙女心は別っすよね...と、じっと手を見る筆者。

ワンピースがある意味、イノセントな乙女時代の象徴であるならば、
そのガールな装いに、
大人の女性のエッセンスをプラスしているのがメガネ。
トレードマークにもなっているメガネは、今や100本近いコレクション。
自宅の引き出しにずらりと並んでいる中から、
役を物語る1本を自ら選ぶという。
「でもね、『これ、使えるかしら』と思っても、
意外と今の空気に合わなかったりする。100本近くあってもね。
だから結局、同じようなのをかけてることも多いの。
ちなみに、今のお気に入りは今日かけているもの。
これ、とってもかけやすくて。上品でどぎつくなくて、いいのよね」。
そっとメガネをはずして見せてくれた。
メガネをかけるとまた、カメラの前で、ちょっと恥ずかしそうにたたずむ。
本当に、乙女みたいな人なんである。
「本当はすっごくかんしゃく持ちなのよ」と言いながら、おだやかに微笑む。
自身のインタビューなのに、
共演者の小林聡美さんや伽奈さんのことをずっと絶賛する優しさ。

もたいさんがいるスタジオは、
映画同様、ひだまりのような心地よさに変わっていく。
『プール』では、主人公のかたくなだった心が、
もたいさん演じる「菊子さん」たちによって、
ゆっくりと柔らかくなっていく。
もたいさんに出会えた筆者は...
すっかりやさぐれてしまった心と真っ黒な腹の奥から、
どこかに置き忘れた「女の子」と
「優しい気持ち」が蘇ってくるようでした...。



撮影/NOJYO 取材/松田亜子


©プール商会
『プール』

4年前、祖母と娘さよのもとを離れ、タイ・チェンマイの郊外にあるゲストハウスで働く京子(小林聡美)。さよ(伽奈)は大学の卒業を目前に控えた今、母を訪ねるのだが…。
 
監督/大森美香 
原作/桜沢エリカ
出演/小林聡美、加瀬亮
伽奈、もたいまさこほか
公開劇場/
梅田ガーデンシネマ
なんばパークスシネマ
京都シネマ
神戸国際松竹ほか

もたいまさこ
『かもめ食堂』『めがね』など人気映画に多数出演。関西滞在時は「食べたいものを効率よく食べられるよう計画するの」。大好きなゴーフルは神戸風月堂 本店で必ずゲット。

SAVVY10月号P144掲載